相続税のない中国で加速する「土地汚職」 – BLOGOS

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▼関連記事 不動産価格の高騰によって、中国は多くの社会問題を抱えることになった。土地を手に入れるために、公務員に対する贈賄が蔓延。さらに相続税がないため、土地をもつ人間はさらに富み、貧富の格差は世界最悪級だ。しかしバブルをつぶせば、大きな景気後退が避けられない。平等に重点を置く「社会主義」を標榜しながら、中国は矛盾に苦しんでいる――。

■贈賄の動機は“土地ほしさ”のため

90年代からわずか20数年程度の 歴史の浅さからしても、中国の不動産市場は未熟で、また、法律・法規も不完全なものだった。ましてや土地の権利関係も曖昧な状態だった。

権利関係の曖昧さを物語る最たる事例が「土地の使用期限」である。中国ではマイホームを取得したとしても、土地については「使用権」を獲得したにすぎない。その使用期限は70年とされているが、期限到来後の「使用権」がどうなるのかがはっきりしない。昨今、中国人が好んで欧米や日本の所有権のある住宅を購入したがるのはここに理由がある。

このような「不完全な市場」で不動産投資が膨れあがった結果、中国では多くの問題を引き起こすことになった。

強制的な立ち退きを報道する映像は、2000年代の日本のお茶の間にも流れた。高級物件偏重型の不動産開発、違法な耕地利用、土地を動かすための贈収賄――ありとあらゆる社会問題が一気に噴出した。

公務員の汚職撲滅は、習近平政権の最大の課題である。中国では日々、汚職検挙数や汚職幹部摘発のニュースが流れるが、問題の核心は「何のために公務員に贈賄するのか」にある。答えは簡単だ。すべては“土地ほしさ”のためである。

今から4年前のことだが、筆者は、近く工場を拡張する計画を持つ中国人経営者を訪ねたことがある。この経営者は必要書類の準備で多忙だったが、「書類を準備しても簡単に土地を分け与えてはもらえない」と言い、贈賄なしではその先に進めないことをほのめかした。

振り返れば、中国では誰もが不動産欲しさに血眼だった。一般市民は住宅を欲し、不動産業者は開発用地を欲し、工場経営者は工場用地を欲しがった。地方政府に関係を築けない“まじめな弱小企業”などはとっくにお払い箱だ。地方政府の役人に食い込める者だけが生き残り、接待漬けにして贈賄し、その果実である“土地”にありついた。

■不動産バブルをクラッシュさせない弊害

不動産バブルがこの国にもたらした「本末転倒」は枚挙にいとまがない。日本でも実需層(勤労所得者層)の不動産価格は「年収の5倍」で買えるというのがひとつの目安になっているが、上海ではこうした年収相応の住宅は存在しなくなった。


転売目的で買われたマンションは明かりがつかず真っ暗だ(浙江省温州市)

90年代後半の上海では、70平米(平方メートル)の中古マンションが日本円にして400万円程度で買えたものだった。当時の上海の平均的な平米単価は4000元程度(当時1元=約13円)だったが、単価も4万元(1元=約17円)を超えた今は、70平米の小型住宅も日本円で4760万円という価格をつける。内装工事前のスケルトン販売が主流の中国では、キッチン、バス、トイレや建具などの内装費が別途加算され、入居時には結局、東京の都心部にも匹敵する価格に膨れ上がってしまう。ちなみに上海の一般的なサラリーマンの月収は7000元(約11万円)程度だと言われている。

中国の不動産バブルをクラッシュさせないことの最大の罪、それは生活の土台となる住宅がいまだ投機の対象になり続けていることにあると言える。

一方、日本には公営、公団などによる「団地」の歴史がある。戦後の住宅不足を低家賃の住宅建設で解消するべく普及した集合住宅である。都心では、70年代を前後して新築した家に引っ越す家庭が多く見られたが、みな、こうした住宅に住みながらコツコツと頭金を蓄えていたものだった。

中国で住宅の現物支給は打ち切られたことは前回述べたが、その後、公共政策による低・中所得者向け住宅はほとんど普及しなかった。先に民間デベロッパーによる不動産バブルに火がついて地価が高騰してしまったため、地方政府も開発業者も「儲けにならないプロジェクト」に背を向けたのである。いくつかの低・中所得者向け住宅が供給されても、そこに入居できるのは「役人にコネのある者」だった。

地元上海人ならば所属工場が支給した住宅に住めたが、上海市の人口の大部分を占める外省人にとって、上海の住環境は屈辱的だった。中国の賃貸市場では「賃貸人」が保護されるため、「明日出ていけ」もまかり通る。そんな粗末な賃貸住宅からの脱出は彼らの悲願でもあったが、毎年上昇する住宅価格に「マイホームの夢」はますます遠ざかる一方だった。

■富の再分配が進まない構造

こうして「持てる者」と「持たざる者」が分かれた。これを構造的なものに定着させたのは不完全な課税制度である。中国ではいまだ相続税が実施されていない。相続税は建国当時から法律に盛り込まれているものの、いまだ保留扱いのままだ。その理由は2013年時点で、中国では統一された個人財産の登記制度が実施されていないためでもある。

他方、日本ではどうかと言えば、皇族だろうが、官僚だろうが、あるいは現金を持たない世帯だろうが、相続税は例外なく厳格に課税される。美智子妃殿下が33億円の資産を相続できなかったため、正田邸は公園になってしまったというのは有名な話だ。

日本は「長者に三代なし」と言われ、最終的には三代で資産がなくなってしまうと言われているが、それほど日本の相続税は厳しく、不動産を所有するほど課税が増えるしくみになっている。逆に言えば、中国では富は一極に集中し、富の再分配が進行しにくい構造になっている。





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