都心で新築より中古マンションが選ばれる、本当の理由

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<今回のポイント>

新築も買える金額を出して、あえて「中古」を選ぶ理由は?

つい先日、都心ではめずらしい大規模開発マンション内にある築30年の物件が売り出されていました。見学に来たご夫婦が対照的な感想を話していたのが印象に残っています。

妻「この金額なら、新築のタワーマンションの最上階でも余裕で買えるんじゃないかしら」

夫「いやぁ、緑に囲まれたこのマンション全体の成熟した雰囲気や立地は、最近の新築では得られない素晴らしさだよ。僕はだんぜん、こっちのほうがいいと思う」

このようにご夫婦で話し合った結果、中古マンションのほうに軍配が上がりました。

以前から、欧米に比べて日本の住宅購入者のニーズは新築に偏っていると指摘されてきたように、やはり新築から検討を始めるものの、希望エリアに新築がないなど条件が折り合わず、それをきっかけに中古にも目を向けるケースが多いのは事実です。

とはいえ、中古マンションを優先して探す傾向は、以前に比べて着実に増えています。不動産流通経営協会(FRK)の調査では、中古住宅の購入者のうち、検討した住宅の種類が「中古のみ」が21.5%、「主に中古」が24.1%、2016年度は合計で45.6%になりました。半数近くの人は中古を中心に探していることがわかります(図1参照)。

図1.新築と中古、志向の違いグラフ

 

そして「ようやく」というべきか、「ついに」というべきか、昨年度は、不動産市場における新築マンションと中古マンションの流通量の逆転現象が起きたのです(図2参照)。

図2.新築と中古の流通量の違いグラフ

 

中古の流通量が新築を上回った要因としては、
1. 新築の供給が減って選択肢が少なくなっていること
2. 新築価格が大幅上昇したため、相対的に割安な中古に目が向いていること
などが真っ先に考えられます。

とはいえ、冒頭に紹介したご夫婦は、単に中古の価格が低いから選んだわけではありません。中古のほうに積極的に価値を見出しているわけです。その理由こそが中古マンションならではの価値であり、とても重要なポイントです。詳しくは次の項目で紹介します。

新築にはない、中古ならではの価値とは?

まず、実際に現地でお部屋を見るのと、新築のモデルルームを見るのでは得られる情報がまったく違います。たとえば「眺望」「日当たり」「風通し」などの良し悪しは、現物を見なくてはチェックできません。それだけでなく、人が住み始めてある程度時間が経たないとわからないこともあります。マンションの管理状態や共有部分の使用状況からわかる住人の雰囲気などはその代表でしょう。

さらに重要なのは、「住まいとして、また資産としてのマンションの格」です。“格”というのは、品質や性能のように数値で測れるものではありませんし、表面からは見えにくいかもしれません。それは、住まい手が愛着や誇りを持って大事に住み続けることによって、何年もかけて「醸し出される雰囲気」とでもいえるでしょうか。

こうした様々な条件が積み重なっていくことにより、たとえ築30年近くになっても、経年劣化とともに単に右肩下がりで価値が落ちていく中古建物ではなく、上質な「ヴィンテージ」になっていくのです。

事実、築10年超のマンションには、優良なマンションがそろっています。その理由としては、

1. バブル崩壊後の長引く不況で企業が良質な土地を手放した場所にあるものが多く、立地がいいこと

2. 東日本大震災の復興需要や東京五輪に向けた建築ブームが起る前で、土地の価格も建築コストも今よりも低かったため、今の新築と比べて設備や内外装仕様などの質がよいこと

などが挙げられます。

新築にこだわらず、中古に価値を見出す目の肥えた購入者層は、やはり東京都心部に多い傾向があります。それを裏付けるように、都心部では「新築と中古の需給バランスの逆転現象」がずっと前から起きていました。その要因を探ってみましょう。

新築より活発! 都心の市場を引っ張る立役者が中古マンション

図3は、東京都港区における新築住宅と中古住宅の流通量の推移を示したものです(※)。このデータには一戸建て住宅も含まれますが、港区では「マンション化率」が約76%(住宅ストックに占めるマンションの割合。東京カンテイ『2016年行政区別マンション化率』より)であることから、マンションの傾向をかなり反映していると考えられます。

※不動産流通経営協会(FRK)が、「住宅着工統計(国土交通省)」及び「登記統計(法務省)による建物売買による所有権移転登記個数データ」などを基に集計。新築住宅=新設住宅着工総数、中古住宅=FRK既存住宅流通推計量。現在、2017年3月公表の2015年までのデータが最新。

図3.新築と中古の流通量推移グラフ

 

この図を見ると、港区では10年前の2007年時点から一貫して、新築住宅より中古住宅の流通量のほうが上回っています。しかも、新築の戸数は2018年のリーマンショック後に急減した後も、年によって増えたり減ったりの波があるのに対して、中古は2012年までほぼ横ばいで、それ以降に右肩上がりで増えています。

ちなみに、23区全体平均では、2014年までは新築住宅のほうが多く、2015年に中古住宅が逆転しました。同じ東京都心部の「千代田区・中央区・文京区」(3区合計のデータ)では2012年頃から「中古>新築」、「新宿区」は2008年から「中古>新築」です。

※千代田区と中央区の「マンション化率」はともに80%以上

このように都心部では新築より中古が多いのは、もともと中古住宅のストックが豊富で取引が活発という量的な背景に加えて、良質な中古マンションが集まっていることも大きいのではないでしょうか。

その典型が、港区や千代田区、渋谷区に多い「ヴィンテージマンション」や「プレミアムマンション」の存在です。これらの定義や魅力については「資産価値が下がらないプレミアムマンションとは?」をご覧ください。

そのポイントを簡単にまとめると、「新しさ・流行・人気/機能性・快適性」より「確かな価値・変わらない価値/格式・テイスト」を重視する層が選ぶマンションということです。都心では価格も高額になるため、富裕層好みのマンションともいえるでしょう。

冒頭で紹介した夫婦の会話は、実は「ヴィンテージマンション」の代表格とされる「広尾ガーデンヒルズ」でのエピソードです。

■広尾ガーデンヒルズ

広尾ガーデンヒルズ外観写真

都心なのに緑豊か、利便性が高いのに閑静。通常は相対立する要素が両立、調和している「広尾ガーデンヒルズ」




都心にもかかわらずこれほどのスケール感をもったマンションができたのは、早くから開発の手が入ったからこそといえます。最近の新築では得難い存在です。そんな厳選された希少立地に建つ、粒ぞろいのマンションが都心では選びやすいといえます。

「広尾ガーデンヒルズ」は、リフォームする場合でも、フローリングへの変更や水回りの移動は管理規約で禁止されているなど一定の制約があり、「資金があるから何をしてもOK」ではありません。住まい手側にも、ある意味「不自由さ」を受け入れる度量があることが、格式や資産価値を保つカギの一つといえるでしょう。

>>次のページでは、中古マンション市場が活発化した要因をさらに探ります。





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