投信の「格付け」 評価が高ければ買ってもいい? – 日本経済新聞

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 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Uさん(以下、U):投資信託の成績を評価するものに「格付け」というのがあると聞きました。どこで見ることができますか。

吉井さん(以下、吉):投信の格付けはモーニングスターやイボットソン、リッパーといった投信評価会社が運営するサイトで公表されています。会社によって「レーティング」「スコア」などと呼ばれ、星の数や数字の5段階で評価する場合が多いです。最近は楽天証券のような販売会社でも、取り扱う投信について独自の格付けを行っています。

U:何を意味するのでしょうか。

吉:格付けは投資対象が同じ複数の投信の成績を比較し、より低いリスクでより高いリターンを残した投信を高く評価します。

U:「投資対象が同じ」とするのには、どんな理由があるのですか。

吉:つまり、投資対象が異なる投信は比較ができないということです。例えば、日本株に投資する格付け「5」の投信と、外国REIT(不動産投信)に投資する「3」の投信を比べて、どちらがより良い成績かというのは判断できません。

U:なぜでしょう?

吉:日本株と外国REITの相場の動きは、市場環境や時期によって全く異なります。運用の巧拙よりも相場要因が大きく影響するため、比較するのは難しいのです。

U:格付けが高い投信は、値上がりが期待できるということですか。

吉:そうではありません。格付けは過去の成績を比べたものであり、将来の成績を保証しているわけではない。あくまでも、過去の運用の『傾向』をつかむためのものです。

U:見る時のコツはありますか。

吉:ある時点の格付けだけで判断するのは禁物です。格付けは毎月見直されており、その推移に注目すると投信の特徴がつかめます。国内小型株投信3本の格付け(レーティング)を例にすると、「DIAM~」はずっと「4」か「5」で推移していますが、これは同じ分類の中で効率性の高いリターンを残し続けてきたことを意味します。積極的に銘柄を入れ替える運用で、環境変化にうまく対応していると推察できます。

 「中小型成長株~」は、「3」から「5」に徐々に上昇しています。以前の成績は平均的でしたが、近頃は同じ分類の他の投信よりも運用が改善していることを表します。割安な銘柄に長期投資する運用方針で、保有銘柄が市場で評価されるのに時間をある程度要したと考えられます。

U:「JPM~」は格付けがさらに大きく変化していますね。

吉:テクノロジー関連株のような特定のテーマに絞り込んだ投信は、市場環境の変化により強く影響を受けるので、成績の波も大きくなることが分かります。

U:結局、どの投信がいいのですか。

吉:それは投資方針によって判断が分かれます。まとまった資金を一度に投じるなら、より安定的なリターンを上げる投信の方が安心できます。一方、積み立て投資であれば、浮き沈みが大きくてもリターンが高い投信の方がいいでしょう。格付けを見る意味は、結果を評価するだけでなく、投信の運用の特徴をつかんで今後の投資に生かすことにあるのです。

吉井崇裕

 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年9月号の記事を再構成]

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