住宅取得時に注目したい「環境に優しい住まい」

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住まいの環境配慮における3つのポイント

地球環境への配慮は、現在、何事においても最重要テーマとなっており、住まいづくりや暮らしの分野でも避けては通れなくなりました。特に近年は二酸化炭素(CO2)排出量やエネルギー消費量の削減などを巡り、要求される水準も適宜変更されてきましたし、置かれている状況も大きく変化してきました。また、「環境に優しい住まい」について理解することは、消費者にとってもメリットがあり、住まい選びの際に重視するポイントもいくつかあります。そこで、この記事では、環境に優しい住まいのあり方をまとめてみました。

最初にポイントをあげると以下の3つに集約できると思われます。

  1. CO2排出量が少ない住まい
  2. 長く住み続けられる住まい
  3. 廃棄物への配慮がある住まい

住宅版エコポイント制度が創設された2010年時点から現在までどのような状況の変化があったかを確認しておきます。まず、世界的な環境意識の高まりと、気候変動対策が課題となったことがあげられます。主な動きとして、2015年末に開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された「パリ協定」があります。

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東日本大震災以降、再生可能エネルギーの活用や災害時の電力確保などの理由から、太陽光発電システムの採用が加速度的に増えた(クリックすると拡大します)

日本政府は2030年度までに2013年度比26%のCO2削減を公約しましたが、一方で国内では石油危機以降約2倍に増加し、全体の15%程を占めるとされる家庭部門の最終エネルギー消費量が増大しています。

ですから、住まいや暮らしの分野でのCO2排出、エネルギー消費量の削減が重要視されているのです。また、2011年に発生した東日本大震災での原発事故による、電力需給の逼迫やエネルギー価格の不安定化なども大きな出来事でした。

環境に優しい住まいの決定版「ZEH」

このような状況を受けて、「CO2排出量が少ない住まい」が求められるようになったわけです。中でも現在、政府が強く推し進めているのが、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・住宅)の普及です。

断熱性

ZEHの実現には建物の断熱性能も重要。住宅事業者ではその強化に力を入れている(クリックすると拡大します)

これは、建物の高断熱性能の向上、省エネ設備機器、HEMS、太陽光発電システムなどの設置で、エネルギー消費を上回るエネルギーを作り出し、エネルギー収支をゼロまたはプラスにする住まいのことをいいます。

環境に優しい住宅というと、従来までは「太陽光発電などを取り付けた住まいでしょ」という漠然としたイメージでしたが、よりしっかりとした定義づけが行われたというのが、ここ数年の大きな変化といえそうです。

政府の「エネルギー基本計画」では、2020年までに ZEHを標準的な新築住宅とする、2030年までに新築住宅の平均で ZEHの実現を目指すとしています。このため、ハウスメーカーはもちろん、地域の工務店レベルにまで取り組みが広がっています。

数世代にわたり住み継がれる「長期優良住宅」

ZEHは建物の省エネルギー性能を高め、CO2排出量をできるだけ少なくするという動きですが、実はそれだけでは環境に優しいとは言い切れません。いくら性能が良くても、耐用年数が短いようでしたら、根本的な対策とはならないからです。

地域材

国産材を活用することも環境貢献になる。計画的に植林と伐採を行うことで、我が国の森林が健全に保たれるからだ。特に地域の木材を使うことは、輸送エネルギーも削減でき、より環境貢献の度合いが高くなる(クリックすると拡大します)

そこで重要な視点となっているのが、「長く住み続けられる住まい」です。簡単にいうと、数世代に渡って住み続けられる住宅を増やすことで、住宅建設に必要なエネルギー消費も減らしましょう、ということです。

ずいぶん改善されたといわれますが、かつて日本では住宅は20年、30年ほどで建て替えられてきました。これをスクラップ&ビルドと呼びますが、かつての住宅は、断熱性などの基本性能が低く、ユーザーのライフスタイルなどに対応しにくかったため、このようなことになっていたわけです。

構造体

頑強な構造を採り入れた木造住宅の施工現場。繰り返しの大きな揺れにも耐えられることは、60年以上に渡って住み続けられる重要な要素だ(クリックすると拡大します)

2009年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されていますが、念のためその必要な条件を以下に紹介しておきます。
・劣化対策
構造躯体が100年程度の期間、使用できる
・耐震性
大規模な地震でも建物の損傷を抑える
・維持管理・更新の容易性
内装・設備について維持管理しやすいプラン
・可変性
ライフスタイルの変化に対応しやすい間取り
・バリアフリー性
高齢者でも住みやすい設え
・省エネルギー性
断熱性能などの省エネ性が確保されている
・居住環境
街並みなど周辺環境の維持・向上
・住戸面積
極端な狭小住宅ではないこと
・維持保全計画
定期点検や補修、その履歴情報の管理

例えば、都市部では限られた敷地に対応した狭小住宅がよく建てられていますが、これはライフスタイルの変化への対応が難しく、長く住み続けられない可能性があり、長期優良住宅の認定を受けられない場合があります。

買い手が付きやすい住宅になるか、という視点も重要

長期優良住宅では、ストック(中古)住宅流通の活性化も目的としたものですが、極端な狭小住宅や極端なデザインの住宅などは、流通時に買い手が付きにくくなるという側面もあります。

こうした住宅は20年程度で建て替えられることが考えられるため、環境に優しい住宅として認知されにくい、などといったことが最近、住宅・不動産業界では広く議論されるようになってきました。

スケルトン

築20年以上になる住宅のスケルトン(構造)部分。構造強度が点検や補修を通じて信頼性を確保できていれば、ライフスタイルに合わせてインフィル(内装)を変え、さらに長く住み継いでいける(写真は旭化成ホームズの買取再販物件の内部。クリックすると拡大します)

さらに近年、リノベーション(大規模リフォーム)の実施や、ストック住宅の取得についての認知度や人気が高まりつつありますが、長期優良住宅はそれらを容易にするものです。若い世代の住宅取得のしやすさにもつながるものでもありますから、是非、注目していただきたいと思います。

さて、ここまでは環境に優しい住まいのポイントとしてよく指摘される事項です。というのは、(1)「CO2排出量が少ない」や、(2)「長く住み続けられる」は消費者(ユーザー)の立場としてメリットがあるため、ある程度のコスト負担があっても納得しやすいからです。

廃棄物

住宅は様々な部資材の集合体。その解体では大量の廃棄物が発生するため、効率面も含めて、その処理をどのように行うか、非常に重要になる(クリックすると拡大します)

しかし、(3)「廃棄物への配慮がある住まい」は、消費者の住まいづくりや購入の動機としてそれほど大きくないのです。例えば、太陽光発電システムは環境に優しいから採用するのではなく、経済面も考慮するから導入するのです。

廃棄物をどう処理するのかは、これまでハウスメーカーなど生産者側の問題として認知されがちで、消費者があまり考慮してこなかったのが実情といえます。

とはいえ、廃棄物の処理は住宅取得の費用に含まれていますから、私たち消費者にとっても決して無縁なことではありません。費用の多寡(たか 多い少ない)には建設廃棄物の処理が適正に行われているか、も含まれるのです。

廃棄物処理の仕方でみえてくるハウスメーカーの善し悪し

例えば、建て替え時に発生する廃棄物を違法処理したり、海外に持ち込んでいる産廃業者がいないとも限りません。もしそうであれば、仮に環境に優しい住まいを取得できたとしても、環境を破壊する行為に荷担していることになります。

現場

整理整頓された施工現場の事例。このような現場では、大工さんや職人さんの技量や意識が高く、施工途中に発生する廃棄物もしっかり仕分けされているはずだ(クリックすると拡大します)

要するに、廃棄物がどのように処理されるのか、産廃業者の処理の最終段階までチェックし、社会的責任を持つような仕組みがある住宅事業者による住まいを選ぶことも、環境配慮という部分で大切な要素なのです。

ですから、私たち消費者はハウスメーカーなどが、どのような廃棄物処理を行っているか、工場や施工現場を見学して確認したいものです。例えば、施工現場の様子を見るだけでも、その事業者が環境に優しい取り組みをしているか、何となく分かります。

施工現場の整理整頓がうまくできていないようでしたら、事業者はそうでない可能性が大。環境配慮の最も基本的なことは、廃棄物を適正に仕分けすることですから。それは家庭におけるゴミ分別と同じ理屈です。

再資源化

積水ハウスの関東工場内にある「資源循環センター」の様子。ここでは新築やリフォームで発生する廃棄物を27種類に分別し、質の高いリサイクルにつなげている(クリックすると拡大します)

施工現場で働く大工さんや職人さんは、廃棄物の仕分けを仕事と思っていない人が多いのが普通。また、仕分けをできるようにするまで意識を高めるのは教育が大変なのです。逆に、きちんと仕分けがされている現場の住宅事業者なら、環境への配慮が進んでいるほか、品質の高い住まいづくりをしているとも考えられます。

つまり、環境に優しい住まいは、ハウスメーカーなど依頼先選びのポイントにもなるということなのです。ホームページなどに掲載されている「環境報告書」なども参考にチェックしてみると良いでしょう。





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