マンションの間取りの基本:階段室型

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階段室型の集合住宅

マンションが本格的に普及しだした1960年代、旧公団による中・低層の集合住宅も郊外を中心にたくさん建てられるようになりました。

いわゆる「○○団地」と呼ばれるその建物群は、4~5階建てで、隣り合う2戸で1つの共用階段を持ち、エレベーターがないため階段を上り下りして自宅へアプローチする形式でした。そのような住棟がひとつの広い敷地にゆったりとした間隔で数棟配置され、敷地内には共用の施設なども設けられました。

階段室型とは

この、旧公団の集合住宅で採用された「隣り合う2戸でひとつの共用階段を利用する」形をマンションのアクセス方式から分類すると「階段室型」と言います(【図1】参照)。

【図1】階段室型の概念図。隣り合う2戸で階段を共有する

【図1】階段室型の概念図。隣り合う2戸で階段を共有する


 

階段室型の特徴

階段室型の特徴は、共用廊下がなく、そのためバルコニーのある南面と北面の2面が開放され、プライバシーを損なうことなく通風、採光を得ることができることです。現在最もポピュラーな外廊下型マンションと比べると、階段室型はプライバシー性、通風、採光などの居住環境が優れています。

階段室型の間取り例

それでは階段室型の代表的な間取り例を見てみましょう(【図2】)。

【図2】階段室型集合住宅の間取り例。3LDK、75m2。ファミリー向け。

【図2】階段室型集合住宅の間取り例。3LDK、75m2。ファミリー向け。

旧公団の集合住宅には、ワンルームから4LDKまで様々なプランがありますが、こちらはファミリー向け、3LDK、75m2の間取り例です。間取りの特徴として、ワイドスパン(間口の幅が広い)であることや、和室重視の間取りになっていることが挙げられます。

地震に強い壁式構造

これら地上4~5階建ての旧公団の集合住宅は、壁式構造でがっちりと造られているものが多く、1995年の阪神淡路大震災後の調査でも建物被害が認められなかったことから、日本建築学会のホームページでは「壁式構造の鉄筋コンクリート造の建物は高い耐震性を有している」と紹介しています。

優れた住環境、居住環境を生かし、今後の課題は

郊外に広がる旧公団の団地は、一つ一つの建物の間隔もゆったり広く、敷地内には公園や緑も配され、今ではなかなか実現できない恵まれた住環境にあるものがほとんどです。また、先ほども触れたように住棟も階段室型となっており、各住戸はプライバシー性、採光、通風条件に優れています。

旧公団の集合住宅は恵まれた環境の物件が多い

旧公団の集合住宅は恵まれた環境の物件が多い

建物や設備が古くなってきているものも多く、エレベーターがないこと、和室重視の間取りなど、若い世代の生活にそぐわない(かもしれない)などの問題点もありますが、この魅力的な住環境を生かし、手を加えて再生し、新しい入居者を取り込もうという動きも起こっています。

間取り変更例

旧公団が建てた団地は分譲物件として中古住宅市場に数多く出回っています。「環境は気に入ったけど、間取りがライフスタイルに合わない」という場合には、間取り変更リフォームしてから住むという考え方もあります。そこで【図2】の間取りを元に、間取り変更案を作成してみました(【図3】)。

【図3】和室中心の間取りから洋室中心の間取りへ変更した例(クリックで拡大)。

【図3】和室中心の間取りから洋室中心の間取りへ変更した例(クリックで拡大)。

鉄筋コンクリート造の壁式構造で造られているため、取り壊せない壁もありますが、全ての壁が取り壊せないといわけではありません。上図のように取り払える間仕切り壁を取り払って部屋を広く使ったり、和室を洋室仕様に変更することも可能です。ワイドスパンのため室内は明るく、南側のバルコニーから北側のバルコニーに気持ちよく風が抜ける間取りです。

派生形の2戸1、3戸1型

この旧公団の「階段室型」から派生した形に「2戸1」「3戸1」という形式があります。主に民間の分譲マンションで採用され、2戸または3戸に一か所の割合で階段とエレベーターがついています。

この形は一般的なマンションでも、名作と言われたマンションでも採用されました。次回はこの、階段室型から派生した「2戸1」「3戸1」マンションについて解説したいと思います。

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