家の売却~媒介契約の特徴と選択のポイント

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家の売却活動を始めるときには、まず初めに売主と不動産業者の間で媒介契約を締結します。この媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があり、いったいどれを選ぶべきなのか迷うところかもしれません。

今回は媒介契約のそれぞれの特徴と知っておきたいポイントについて、少し詳しくみていくことにしましょう。

売却を依頼した不動産業者が買主をみつけるとは限らない

一戸建て住宅

売り出された物件の情報をもとに、多くの不動産業者が動き始める

家の売却における媒介契約の違いを説明する前に、まず不動産業者媒介業務について触れておくことにします。

売主から依頼を受け媒介契約を締結した不動産業者は、その物件に関する情報をレインズ(REINS)と呼ばれる業者間の物件情報ネットワークシステム(指定流通機構)に登録します。

この情報をもとに、あなたが依頼したのとはまったく別の不動産業者も、買主をみつけようと同時に営業活動を進めることになります。

レインズには、東日本レインズ、中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズの4つがあり、ひとつのシステムで全国一律の情報が提供される仕組みにはなっていませんが、たとえば東日本レインズなら北海道から新潟、長野、山梨、神奈川まで17都道県をカバーしています。

一方、全国には123,307社(※)の不動産業者(個人業者を含む宅地建物取引業者数、2015年度末時点、国土交通省資料による)が存在します。

※ 都道府県別の業者数の最大は東京都の24,368、最小は鳥取県の294

このうちどれくらいの割合が売買物件の媒介業務をしているのかといったデータはないものの、あなたの住まいが売り出されれば、数千~数万の不動産業者がその情報を手にすることになるわけです。

そのため、A社に売却を依頼(A社と媒介契約を締結)しても、購入希望者を連れてくるのがA社だとは限りません。

A社に依頼をしても、あるいはB社に依頼をしても、実際に購入してくれる買主はC社が連れてきた○○さんで結果的には同じだった、ということになるケースも多いでしょう。

その意味で、あなたが売却を依頼する不動産業者は、あなた側の窓口となる立場です。その業者が直接、購入見込み客を抱えているかどうかという視点よりも、あなたに対して誠実に業務を遂行してくれるかどうかといった視点を重視して選ぶべきです。

また、売却の窓口を多くするべき、業者同士を競わせるべき、といった論調で一般媒介契約(複数の業者と媒介契約を結ぶことができるタイプ)を勧める解説をしている書籍やwebサイトもありますが、一般媒介契約のときにはレインズへの登録義務がありません。

仮に5社との間で一般媒介契約を結び、そのいずれもがレインズに登録をしなければ、あなたの物件に関する情報は5社だけにとどまることとなり、売却成功の機会を失う結果にもなりかねないでしょう。

「一般媒介のほうが、多くの見込み客から買主を探すことができる」というのは、幅広い売却活動のなかの部分的な見方でしかありません。

もっとも、一般媒介契約でもレインズに登録をする業者は意外と多く、さらに一般媒介契約を受けた業者の広告や一般向けサイトへの情報掲載などによって買主が見つかれば、それで無事に売却を済ませることはできます。

少し説明が長くなってしまいましたが、適正な値付けがされた物件やニーズの多い物件に対しては、あなたが売却を依頼した不動産業者だけではなく、他にも多くの業者が買主をみつけようと活動するのだということを覚えておきましょう。

媒介契約には3つのタイプがある

売却を依頼するときに不動産業者との間で結ぶ媒介契約には3つのタイプがあり、そのうちのどれにするのかはあなたが自由に選ぶことができます。それぞれのタイプにおける特徴などをみておきましょう。

〔専属専任媒介契約〕

売却を依頼できる不動産業者は1社に限られます。また、売主が自ら発見した相手と(依頼した業者を排除して)売買契約を締結することはできません。

たとえば、売却活動を始めてから自分の親戚や知人などが買ってくれることになった場合でも、専属専任媒介契約を締結した不動産業者を通さなければ契約ができないことになります。

依頼を受けた不動産業者は、成功報酬として収益(媒介手数料収入)を得る可能性が高まりますから、一般的には広告や営業にも経費をかけやすく、積極的な活動を期待できます。

専属専任媒介契約による売却の依頼を受けた不動産業者は、媒介契約締結日から5営業日以内に指定流通機構(レインズ)へ登録をして、機構から発行される登録済証を売主へ交付しなければなりません。

また、売主に対して1週間に1回以上、文書または電子メールにより業務処理状況報告を行なうことになっています。

ちなみに、専属専任媒介契約は1990年5月施行の宅地建物取引業法改正により、専任媒介契約の1類型として追加されたものです。

〔専任媒介契約〕

専属専任媒介契約と同様に、売却を依頼できる不動産業者は1社に限られます。ただし、専属専任媒介契約とは違い、売主が自ら発見した相手と売買契約を締結することは認められます。

依頼を受けた不動産業者の義務は少し緩和されており、指定流通機構への登録は7営業日以内、業務処理状況報告は2週間に1回以上となっています。

依頼を受けた不動産業者の収益機会は比較的高いため、一般媒介契約よりも積極的な営業活動などを期待できるでしょう。

〔一般媒介契約〕

専属専任媒介契約や専任媒介契約とは異なり、複数の不動産業者(上限はない)に売却を依頼することができます。一般媒介契約はさらに、売主が他に依頼する業者を明らかにする義務のある「明示型」と、その義務のない「非明示型」に分かれます。

一般媒介契約の場合、依頼を受けた不動産業者には指定流通機構への登録義務がなく、また業務処理状況報告の義務もありません。

他の不動産業者で売買契約がまとまった場合には、媒介手数料収入が一切得られないため、依頼を受けた不動産業者はその物件の売却に向けた経費をかけにくいことになります。

一般媒介契約を結んでみたものの、一般向けの物件検索サイトに登録したり自社サイトに掲載したりする程度で、あまり積極的には動けない不動産業者のケースも少なからずあるでしょう。

その一方で、ニーズの高い物件の場合などには、一般媒介契約でもいいからとにかく売却の依頼が欲しいという業者や、見込み客へ物件を紹介する際にあわよくば売主からも依頼を受けようとする業者が次々と飛び込み営業に来るなど、売主にとってたいへん煩わしい状態となるケースもあります。

なお、一般媒介契約によって複数の不動産業者に売却の依頼をするときには、その売り出し価格が同じになるようにしなければなりません。価格の改定をする場合も同様です。

同じ物件でありながら業者によって表示価格が異なれば市場の混乱を招きますから、複数の業者を売主自らがコントロールすることも必要になってきます。

媒介契約の有効期間は3か月

専属専任媒介契約と専任媒介契約では、宅地建物取引業法により「有効期間は3か月を超えることができない」(第34条の2)ものとされており、ほとんどのケースで有効期間が3か月ちょうどに定められるでしょう。

一般媒介契約の場合には法律による規定がないものの、標準媒介契約約款により同じく3か月が上限となっています。

ちなみに、どの媒介契約であっても標準媒介契約約款を用いることが国土交通省から指導されており、通常の取引においてこれ以外の契約約款が使われることはほとんど考えられません。

また、有効期間の満了にあたっては「依頼者からの申し出により」有効期間の更新ができることになっていますが、更新後の有効期間も3か月以内で定められます。

もっとも、初めの媒介契約から3か月経っても売却ができなければ、業者の変更も含めていろいろと検討すべきことは多いでしょうが……。

媒介契約は途中で解除できる?

専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結した後、その媒介契約を有効期間内に解除したい、依頼する業者を変えたい、などという状況になることも考えられます。

このとき依頼を受けた不動産業者側に何らかの落ち度(売主からの信頼を損ねるような不正行為や不当行為、指定流通機構への登録の遅れ、業務処理状況報告の欠落など)があれば、媒介契約を解除することに問題はありません。

登録や報告の遅れなど「債務不履行」に関しては催告を要することになっていますが、遅れの事実を指摘したうえで「もう信頼できないから」といえば、ほとんどの業者は媒介契約解除の申出を受け入れざるを得ないでしょう。

また、何らかの事情で売却すること自体をやめたい場合には、その理由をきちんと説明すれば媒介契約の解除に応じてもらえるはずです。「ただ何となくやめたい」では困りますが……。

しかし、依頼を受けた不動産業者がきちんと業務を行ない、業者に何ら責任はない(なかなか売れそうにないという理由だけでは責任を問えない)のにも関わらず、別の不動産業者に乗り換えたいという場合には、それまでにかかった費用実費分の支払い(成約時の媒介手数料額が上限)を請求されることにもなりかねません。

この請求は標準媒介契約約款に規定された正当なものです。実際には何も要求せずに引き下がる業者も多いでしょうが、あまり安易に考えるべきではないでしょう。

売却依頼先の業者を変えたいのであれば、基本的には媒介契約の有効期間が満了するのを待つことになります。このような事態にならないためには、初めの業者選びの段階で十分に検討することも必要です。

売却していることを回りに知られたくないときには?

何らかの事情で家を売らなければならないものの、「自宅を売りに出したことを近所には一切知られたくない」あるいは「特定の相手とだけ売買契約の交渉をしてほしい」などといったケースも考えられます。

このときに専属専任媒介契約や専任媒介契約を結べば、依頼を受けた不動産業者は法律上の義務によって物件の情報を公開しなければならず、売主の意向を反映することができません。

このような場合には、販売方法などについてよく打ち合わせをしたうえで、1社だけとの間で一般媒介契約を締結すればよいでしょう。

業者の不適切な行為には要注意!

ここでは媒介契約についての基本原則を説明してきましたが、媒介契約を受けた後の販売活動において不適切な行為に走る不動産業者も残念ながら存在します。その一例については ≪媒介は大手業者に頼めば大丈夫?≫ をご参照ください。

これらの不適切な行為や不正を防いだり見抜いたりするためには、第三者的な立場でチェックしてくれる他の不動産業者を味方につけることが有効なのですが、現実にはなかなかそうすることもできないでしょう。

専属専任媒介契約または専任媒介契約で売却を依頼をした業者が繰り返し何度も自社の客を連れて内見に来るのに、他の不動産業者からの客紹介がまったくないという場合には、情報の公開が適切に行なわれていない可能性もありますから注意が必要です。

ただし、その業者がたいへん熱心だという可能性も否定できませんが……。

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