5年先行く並列ソフト技術、デスバレーの先に巨大市場 – 日経テクノロジーオンライン

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オスカーテクノロジーは、2017年3月に産業革新機構やデンソーなどの出資を受けた。同社が手掛けるのは、通常のソフトウエアを多数のコアで並列に実行可能な形式に自動変換できるコンパイラ。早稲田大学の笠原・木村研究室が開発した技術を商用化する。新市場の立ち上げを目指す小野社長に、事業の展望を聞いた。

小野 隆彦氏(おの・たかひこ)

1951年生まれ。1974年慶応義塾大学卒業。1989年工学博士(東北大)。1991年に小野測器 代表取締役社長に就任。2002年から早稲田大学客員教授。2005年から2011年まで東京農工大学理事・副学長。2013年にオスカーテクノロジーを設立し現職。(写真:加藤 康)

 我々はベンチャー企業の最も厳しい時期、デスバレーを通過中なんです。売り上げが少ないにもかかわらず、月間2000万円以上のお金が外に出て行っている。我々のエンジニアと外部の力を使って、ソフトウエアを全て書き直しているからです。(製品の基になった)大学で作ったソフトウエアは研究開発用なので、使い勝手は考慮されておらず、バグがあっても徹底的には潰していない。しかも20年くらいにわたって代々の学生が作ってきたわけですから、全体を通して分かっている人間はごく少数なんですよ。だから、何十万行のソフトウエアをうちの技術者が全部読んで、仕様書を書くところから始めました。

 2014年8月に、早稲田大学と契約して大学が所有している関係知財とソフトウエアの著作権の専用実施権を8000万円で買いました。自社株と社債で支払った格好です。その後にソースコードをチェックしたら、かなりこれは大変だなと。経営上の観点から、2017年3月をメドに商用版を投入する計画でしたので、一から作るのでは間に合わず、書き換えるしかなかったんです。正直に申し上げると、コストは当初もくろんだ額より膨らんでいます。3億円くらいあればできるだろうと考えていましたが、実際には倍以上かかっています。2017年3月に完成した商用のソフトウエア「OSCARTechコンパイラ Ver.2.0」は自動車産業向けで、(車載システム開発向けのプロセスモデルの)Automotive SPICEや、(機能安全の国際標準規格の)ISO26262への対応が必要だったこともありますが。その分、テストを繰り返しやっても動作は非常に安定しています。

 会社を設立したのは2013年2月です。早稲田大学前総長の白井(克彦氏)と、技術を開発した(早稲田大学教授の)笠原(博徳氏)と、私などが出資して始めました。実は、色々とお世話になっていた白井前総長から2013年に電話をもらうまで、私は笠原教授に会ったこともなかったんです。白井前総長に呼び出されて技術の説明を聞いて「面白いですね」と言っていたら、「会社を作るぞ、お前が社長やれ」と(笑)。根回しも一切なしですよ。





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