ETF投資の実践編 リスク別3つのポートフォリオ|マネー研究所|NIKKEI … – 日本経済新聞

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 日本経済新聞出版社のムック「ETFまるわかり! 徹底活用術2017」の記事をもとにETFの魅力や使い方を解説する連載の第3回。今回はETFの活用に詳しい晋陽FPオフィスのファイナンシャル・プランナー、カン・チュンドさんに、ETFで長期投資と分散投資を実践する上で知っておきたいポイントや具体的なポートフォリオをお聞きします。第1回の「ETFって何? 株や投信との違いは『分散&低コスト』」や、第2回の「ETFの『流動性』って何? どこで判断すればいいの」と併せてお読みください。

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 分散投資という意味では、TOPIX(東証株価指数)に連動するETFを購入するだけでも大きな分散効果が期待できます。しかし、それは日本の市場だけを見た場合です。もっと広い視野で見れば、日本に集中投資していることになります。

 「次の段階として、国や地域の分散も考える必要があります」とカンさん。ETFを利用すれば、国や地域の分散も容易です。例えば日本を除く22カ国の株式をパッケージにしたETFもあります。あるいは、新興国に幅広く分散投資する銘柄もあります。

 さらにカンさんは「もう1つは資産の分散が重要です」と話します。日本以外の国や地域の株式を買えば、分散投資はそれで完璧かというとそうではありません。資産の種類という意味では、株式が100%になってしまいます。国や地域を変えても、世界中の株式市場は値動きが連動することが多いので、分散効果が得られない場合もあります。ですから、債券ETFやリート(不動産投資信託)ETF、金ETFなどを組み合わせることが資産の分散になります。ここまでして初めて完璧な長期・分散投資と言えます(図表1)。これがいわゆる国際分散投資です。

 そもそもなぜ、国際分散投資が必要なのでしょうか。カンさんは、「日本人が自分の住んでいる日本だけに投資するのは、大きなリスクになりかねないからです」と警鐘を鳴らします。

■先進国と新興国の株と債券で初心者はOK

 長期分散投資で成功する秘訣は、成長が期待できる国や地域に投資をすることです。少子高齢化が進む日本は今後、GDP(国内総生産)の成長が期待できるでしょうか。正確に予測することはできませんが、世界に目を向ければ、日本以上にGDPの成長が見込めそうな国や地域があります。だからこそ、グローバルな視点で分散投資を行う必要があります。それを手軽に実現するのがETFなのです。

 ただ、ETFの中にも長期分散投資に向かないものもあります。ほとんど売買高のないものやレバレッジ型・インバース型など短期向けのETFがそれにあたります。「そうした銘柄は同じETFでも、まったく特性や目的が違うのです」。ETFの中にも短期で売買して収益を狙うタイプもあるのです。そういう意味では、長期分散投資にふさわしいETFは、ある程度絞られてきます。

 具体的に挙げてみましょう。株式でいえば日本株、先進国株、新興国株が3つの大きなエリアといえます。債券なら日本以外の先進国の債券、新興国の債券、これらを広く組み合わせるのが長期分散投資の王道になります。初心者であればこの辺りから考えるといいでしょう。

■長期投資を実践するコツは「マーケットを見すぎない」

 「加えて、長期投資を実践する際には、マーケットを見すぎないことも重要です」とカンさん。マーケットというのは月曜日から金曜日まで取引が行われており、年間にすると240日前後は開いています。それを毎日見ていても長期投資ではあまり意味がありません。逆に毎日見ていると、価格のアップダウンを意識してしまうので、どうしても売ったり買ったりしたくなってしまいます。これは百害あって一利なし。

 「長期投資の心得は、いかにマーケットから離れるかということです」

 これは難しいことでもあります。初心者がETFを買うと、当初は価格の動きが気になってしまうものです。毎日、値動きを見てしまうでしょう。しかし、半年か1年ほど経過すると、当初よりも見る頻度が下がってきます。それを利用して見る間隔を少しずつ長くしていくのがいいでしょう。

 例えば、季節を自分の運用にも当てはめてはどうでしょう。季節の変わり目に価格のチェックをするのです。この時間のサイクルに慣れてきたら、次は誕生日を目標にしましょう。誕生日は1年に1度しかありません。誕生日が来たら運用成果をチェックするのです。

 「誤解を恐れずに言えば、普段は投資のことなど忘れているくらいがちょうどいいのです」。日常生活では誕生日のことなど常に考えてはいません。投資も同じで、適切な距離感を保つのが重要なのです。

■ETFを活用したポートフォリオの例・安全資産と日本以外の資産は必須

 実際にETFを利用してポートフォリオを組む場合には、どうすればいいでしょうか。カンさんは「リスク資産だけでポートフォリオを組むのは賛成しません。安全資産をポートフォリオに加えて防波堤を作りつつ、ETFを組み合わせるのがいいでしょう」とアドバイスします。

 例えば保守的なポートフォリオを組むなら、資産のうち40%を安全資産にします。これには証券総合口座のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)がふさわしいでしょう。残りの60%のうち、20%で債券のETFを購入し、40%で株式のETFを購入します。これが大枠の資産配分です。安全資産を40%保有していれば、2008年のリーマン・ショックのような危機が再来しても、40%の部分は値下がりしません。この安全資産がクッション機能を果たして、ポートフォリオ全体のマイナス幅を抑えてくれます。

 さらに細かく設定をしていくと20%の債券のうち15%で先進国債券のETFを買います。残りの5%は新興国債券のETFを組み入れます。40%の株式については、日本、先進国、新興国の3つに分けます。

 「日本人だからといって日本株ETFを多くする必要はありません」とカンさん。ポイントは世界的な視野から配分をすることです。しかし、投資資金は限られています。効率よく配分するにはどうしたらいいでしょうか。

 「何か参考にするとすれば、やはり世界のGDPだと考えています。日本、日本以外の先進国、新興国のそれぞれのGDPの規模を比率にすると、おおよそ10対55対35となります。今後の世界の経済の発展にお金を託すと考えれば、GDPの比率に準じて資産を配分するのが合理的です」

 これを基準に株式の部分を配分すると日本は5%、先進国は20%、新興国は15%程度となります(図表2)。日本を中心にするという考え方からいかに脱却できるかが課題なのです。

■中・上級者は安全資産を減らしてその分、リスク資産を増やす

 このポートフォリオをベースにすれば、中・上級のポートフォリオを考えることもできます。基本的には安全資産を減らして、その分で債券や株式の比率を増やしていくことになります。

 中級者向けのポートフォリオとしては、安全資産を20%に減らして債券ETFを20%、株式ETFを60%にする方法があります。株式のうち日本は5%、先進国は35%、新興国を20%にします。債券は先進国15%、新興国5%がいいでしょう(図表3)。

 保守的なポートフォリオと比較すると、安全資産を減らした分、ハイリスク・ハイリターンとなります。

 さらに上級者向けを考えるなら、リートETFや金ETFを組み入れる方法があります。安全資産を15%にして、債券ETFを15%、残りの70%のうち、金ETFに5%、リートETFに10%を振り分けます。リートETFの内訳はJリートと米国リートに5%ずつ配分します。つまり株以外の資産で15%を保有するわけです。

 残りの55%を株式に配分しますが、日本は5%、先進国は30%、新興国は20%にします。債券は15%にしていますが、先進国は10%、新興国は5%でいいと思います(図表4)。金は世界中の経済が信頼性を失ったときに力を発揮します。「ヘッジ資産の1つとして金ETFをほんの少し持つことは、意味のあることだと思います」

COLUMN リレー投資ってなに?

 インデックスファンドで積み立て投資をして、ある程度の資産が蓄えられたらETFに買い替える方法をリレー投資といいます。ETFよりもインデックスファンドの方が積み立てはしやすいというメリットがありますが、信託報酬はETFの方が低くなっています。投資コストを下げるために資金がまとまったら、ETFに乗り換えるという方法です。
 「以前は信託報酬の差が大きかったので効果はありましたが、いまはそれほど差がないので魅力が薄れていると考えます」とカン氏。
 さらにETFの課題でもあった積み立て投資への対応も、家計の安定的な資産形成に資するよう、金融審議会においても改善策について検討しています。近い将来、ETFでも容易に積み立て投資が実現する可能性が高まってきました。「その意味でもリレー投資の役割はすでに終わっているといっていいのではないでしょうか」

「ETF(上場投資信託)まるわかり! 徹底活用術2017(日経ムック)」の記事を再構成

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