福岡市のグローバル化推進 URC久保氏ら分析と提言 「都市の成長 … – 西日本新聞

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 福岡市の外郭団体、公益財団法人福岡アジア都市研究所(URC)の久保隆行上席主任研究員(51)を中心とするチームは2016年度、福岡市の都市力をテーマにした二つの報告書をまとめた。一つ目の報告書では、コンパクトながら高い国際競争力を有する「第3極の都市」を中心に世界の9都市を比較評価し、福岡市が「都市の成長」分野で発展途上であると分析。二つ目の報告書では具体的な成長戦略として、グローバル化指標の中でも「アウトバウンド」(学生の留学や企業の海外進出)を推進していくよう提言しており、市の都市政策の羅針盤となりそうだ。

 一つ目の報告書は「『第3極』の都市plus(プラス)3」。

 久保氏のチームは14年度、首都でも人口、経済面での巨大都市でもないがグローバル都市の存在感を示している第3極の都市として、バルセロナ(スペイン)▽メルボルン(オーストラリア)▽ミュンヘン(ドイツ)▽シアトル(米国)▽バンクーバー(カナダ)▽福岡-の6都市を比較分析し、報告書を作成した。

 16年度はこの6都市に加え、後背地を含む人口規模や、海外と接する経済圏の端に位置するなどの点で福岡と類似性が高いストックホルム(スウェーデン)、ヘルシンキ(フィンランド)、釜山(韓国)の3都市を新たに選定。計9都市の都市力を最新の統計データを用いて評価した。

 久保氏は大手デベロッパーの森ビル(東京)在籍時に、森記念財団が毎年発表している世界都市力ランキングの開発に携わった経験がある。今回は、豊かさを表す都市の成長分野で36項目、住みやすさを表す生活の質分野で26項目の計62指標を設定。それぞれに関する統計データを最高100点の独自の相対指数に変換し、指数を基に総合評価を行ったという。

 その結果によると、福岡は都市の成長分野で9都市中最下位だったものの、第3極の6都市間だけの相対評価に置き換えると、14年度に比べ差は縮まった。生活の質分野は6番目だが、バルセロナを除く8都市はほぼ同じ水準。福岡は14年度比では相対評価がわずかに下がった。

 久保氏は福岡の都市の成長分野について、14年の「グローバル創業・雇用創出特区」の指定を追い風に政策を推進し、特にクルーズ船寄港回数、国際会議開催件数などインバウンド(海外からの観光、ビジネスの人流)系の指標が順調に伸びていると分析した。

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 出国率上昇や海外路線強化を

 世界の都市力評価から「在住外国人数・留学生数」「国際線就航数」といったグローバル化指標が高いほど、観光、ビジネス、イノベーション(技術革新)の都市の成長分野も伸びていくとの傾向を見いだし、福岡市に提言したのがもう一つの報告書「福岡のグローバルネットワーク」だ。

 久保氏はまず、三大都市圏の東京や大阪などと福岡のグローバル化指標を比較。人口に占める外国人比率▽外資系企業本社数、海外進出企業数▽出国率(都府県の居住者数に占める1年間の出国者数)-など多くの指標で、福岡が水をあけられている現実を示した。

 インバウンドでは、博多港の出入国者数が全国首位になるなど一定の成果を挙げており、今後は、(1)訪日客1人当たりの滞在期間と消費単価を増やす「質」への転換(2)海外から高度人材と良質な投資を誘致する環境整備-を求めた。

 一方、アウトバウンド政策には多くの視点を投げ掛けた。

 世界各国の出国率と1人当たり国内総生産(GDP)の間に相関関係があると示した上で、福岡がさらに成長するためには、国内平均の12・8%を下回る10%(15年)にとどまっている福岡県の出国率を引き上げ、海外との人流や経済交流を活発にすることが望ましいと提案した。

 例えば、福岡空港発着の航空便の1週間当たり座席供給数は羽田便が39・2%(16年7月)を占めており、福岡が東京とのネットワークに依存していると指摘。首都圏も人口減少時代を迎えることを踏まえ、第3極の都市のバルセロナが144路線の国際線就航都市数を誇っていることも参考に、福岡空港の25路線(同)を増やしていく必要があるとした。

 福岡市と海外都市との結びつきの強さを地場企業進出数や提携大学数など5指標で総合分析したところ、最も強かった上海(中国)をはじめ、上位20位のうち18はアジアが占めた。久保氏は「福岡はインバウンドとアウトバウンドを『両輪』で進め、上海など今あるグローバルネットワークをより太くするとともに、多様化していくことが有効な戦略」としている。

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 URCは近く、二つの報告書をホームページで公開する。

=2017/04/06付 西日本新聞朝刊=

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