地震が怖くない家を建てるために、知っておきたいこと

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住まいの「耐震基準」とは

三井ホームundefined技術研究所undefined研究開発グループ長の太田啓明さん

今回お話を聞いた、三井ホーム 技術研究所 研究開発グループ長の太田啓明さん。技術研究所に約18年在籍し、構造躯体の開発や仕様の改良、免震システムの開発などに携われています

日本で住宅を建てるときには、建物の面積や高さ、用途などの制限とともに、さまざまな技術基準などを定めた「建築基準法」の順守が義務付けられています。耐震性能に関する技術基準もこの法律内に述べられていますが、大きな地震が起きたるたびに基準は改正され、現在は1981年に定められた「新耐震基準」がベースとなっています。

ただ、その基準や性能は阪神大震災をきっかけとして、より高い性能の基準に誘導するため2000年に「住宅の品質確保の促進などに関する法律」において「住宅性能表示制度」が定められました。任意の制度ですが、耐震性能は「耐震等級」で表示・理解できるようになっています。

耐震等級

省エネ生、耐火性、耐久性など10分野の性能を、等級や数値で表示する「住宅性能表示制度」。耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)は、等級3が最も高くなっています

プレミアム・モノコック構法

基本となる枠組と、床面・壁面・屋根面の6面体で構成された堅牢な「モノコック構造」に、超剛性のベタ基礎「マットスラブ」、継ぎ目がなく災害に強い外壁「BSWウォール」、強固な「ダブルシールドパネル」をプラスした「プレミアム・モノコック構法」。耐震性をはじめ、住宅性能を進化させた枠組壁工法です

その一方、近年頻発している大地震を受け、住宅メーカーの中には、これらの性能基準を上回る耐震性をもつ工法・構造の開発を進めている会社もあります。

「三井ホームでは、より安全・安心して暮らせる住宅を提供したいという理念より、技術研究所という部署において、住宅構造の改良・開発を進めています。

現在は、枠組壁工法(ツーバイシックス)をベースに、当社オリジナルの屋根パネルや基礎、外壁を採用した『プレミアム・モノコック構法』を提供していますが、この構法は独自技術を使った高い耐震性を持つため、制震や免震装置を加えなくても“地震に強い家”を建てることが可能です」(三井ホーム 技術研究所 太田啓明さん)。

耐震、制震、免震、得られる効果に違いはある?

太田さんのお話にある“制震と免震”という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。特に”地震が怖い“という方は、どのような効果が得られるのか気になるはずです。

制震は、建物の内部にデバイス形の装置を組み込むことで、地震による建物の変形を抑え、揺れを早く収める効果をもたらします。

「耐震は構造自体を頑丈につくりますが、制震はフレームやダンパーなどのデバイス(装置)を用いることで構造を頑丈にする、という違いがあります。制震は耐震と目的や効果が近く、どちらも構造を強固に保ち変形やゆがみを抑えることができます」(太田さん)。

VAX

内壁の枠組みに制震ダンパーと制震フレームからなる制震デバイスを組み込んだ「バックス(VAX)」。プレミアム・モノコック構法と組み合わせれば、一般的なツーバイフォー工法の建物と比べ、2階面で最大80%程度軽減できます

耐震や制震は地震の揺れが建物に直接伝わるので、一階にいる人は同じ揺れを感じます。一方免震は、建物と基礎部分の間に免震装置を設置することで、地震の揺れを建物に伝えにくくする効果をもたらします。揺れそのものを軽減することで、建物の損傷だけでなく家具の転倒を防ぐ効果も得られますし、なにより、揺れの恐怖感を軽減できます。

【耐震・制震・免震の違い】

  • 耐震構造…構造を強くして揺れに抵抗する。
  • 制震構造…制震装置が揺れを吸収して建物の倒壊や損傷を防止する。
  • 免震構造…建物と基礎部分の間に免震構造を設置して、建物に揺れを伝えないようにする。

「当社では、地震の揺れが怖いという方や、ご自宅で陶芸教室をひらいている方などに『プレミアム・モノコック構法』にプラスして免震装置をご採用いただいています」(太田さん)。

M-400

基礎と上部構造の間に、ボールベアリング支承とオイルダンパーからなる免震装置を取り付けた免震システム「M-400」。国土交通大臣の免震システム認定も取得しているので、3階建て住宅や併用住宅にも採用できます

「実は当社では、1989年に現在でも多くのビルの免震装置に多く用いられる積層ゴムを使い、住宅メーカーでは初めて免震住宅を建てています」と太田さん。しかし、住宅はビルと違い建物自体が軽いため、思うような設計が難しく、広くは普及しなかったそうです。

その数年後、阪神淡路大震災が発生しました。

「地震発生後、被害が大きかった兵庫県淡路島のお客様の家を訪問すると、構造に損傷はないものの、家具やピアノ、冷蔵庫が激しく散乱していました。幸いお施主様に怪我はありませんでしたが、その様子を見て、家は壊れなければよいというわけではなく、安心かつ安全に暮らしてもらうことが大事だと痛感しました。住宅用の免震装置は、まさにこの安心・安全のために提供すべきと思い、再度開発に取り組みはじめました」(太田さん)。

阪神淡路大震災後、軽量なツーバイフォー住宅でも効果が得られる免震システムの研究・検証を進めた結果、すり鉢状の皿の上をベアリングが転がることで揺れの加速度を低減する「ボールベアリング支承」と、地震の揺れを減衰させる「オイルダンパー」を組み合わせた免震システムを、1996年に誕生させました。

M-400 ボールベアリング支承

「ボールベアリング支承」免震装置M-400の基幹技術

「ボールベアリング支承は地震の後に、仮に停電中でも受け皿を転がって自動で元に戻る特徴があるため、熊本地震のように地震が繰り返す場合でも、常に同じ効果を得ることができ安心です。また、地盤に合わせてオイルダンパーでチューニングができること、装置自身は固有周期を持たないので、地震に得意不得意がほとんどありません。私たちは究極の免震システムだと考えています」(太田さん)

高い耐震性能を持つ住宅を建てる場合にも、制震や免震装置を付加する必要はあるのでしょうか。

「一般的に、制震(もしくは制振)装置は建物が変形しやすい、もしくは揺れやすい場合に最も効果を発揮します。このため背の高い建物やブレースや筋交いを使う構造、揺れが収まりにくい鉄骨造りなどに主に採用されています。

ツーバイフォー工法は面構造のため比較的変形が小さいので、耐震でも高いレベルで設計すれば、制震装置がなくても同様の効果が期待できます。肝心なのは、『それぞれの装置をどのような目的で付加するか』です。

建物の損傷や家具家財の被害を最小限にとどめることができれば、揺れることは仕方ないということであれば、耐震だけでも十分に実現可能ですし、さらに制震という選択肢もあります。揺れることの恐怖感を軽減するレベルを求めるのであれば、免震が必要だと考えます。

古い耐震基準で設計された建物には効果が見込めません。当社の場合、制震と免震はご希望されたお客様にオプションとして提供しています。装置の費用は、制震は1棟あたり100万円~、免震は600万円~と比較的高価ですが、大震災発生後には問い合わせが非常に増え、導入される方もいらっしゃいます」(太田さん)。※装置導入費用に関しては、お近くの営業所担当者にご確認ください。

ただ、地盤の状態によっては想定される効果が出にくいケースや、過剰装備となるケースもあるため、提案前には地盤調査や構造計算などの確認を十分に行っているそうです。

次のページは、基礎と地盤についてと、大地震が起きても「家にいれば安心」と思える技術について。





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