自邸の設計が夢だった建築士が、中古住宅を買った理由

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「自邸」を設計すること。
それは建築の仕事を始めて「(いつか必ず)してみたいこと」の一つになった。

しかし実際には「家が欲しい」と思ったその時は、わが家は小さな子どもの子育て中で、夫婦はそろって遠距離通勤。もし自邸の設計をするとしたら、後悔しないよう、じっくり検討して練り上げたい。でもその時の私は、子育てと仕事でフル回転中。土地を探しに行くことさえ困難に思えた。



 

欲しいと思うタイミング

家が欲しい、そう思うタイミングは人それぞれだと思うが、わが家の場合、最初にそのタイミングが訪れたのは、二人目の子どもが生まれ、それまでの住まいが手狭でどうしようもなくなった時だった。いわば切羽詰ってのこと。自邸の設計はあきらめて、広告をチェックし、時間があったら中古住宅や新築分譲戸建て住宅を見て回ることにした。



 

中古住宅の魅力は立地を選びやすいこと

中古住宅も視野に入れたのは、「ここに住みたい」という立地条件がはっきりしていたから。働きながら子育てするために必要なもの、それは、おばあちゃんの助けと保育園だった。当時も保育園への入所はハードルが高く、せっかく入った保育園を辞めるわけにはいかない。保育園の駐車場は狭く、送迎時間は混んで入れないことも多いし、どうせなら歩いて行けるほど近くがいい。仕事が終わるのが遅いから、子どものお迎え要員として日々おばあちゃんの助けも必須だった。



 

立地の優先順位

だから、立地の優先順位としては、夫婦双方の会社に近いということよりも「入所できた保育園」や「実家」に近いことの方が、高い。子どもが熱を出したらやっぱり頼りになるのはおばあちゃんだ。そして親は遠距離通勤に耐えることになるが、この時期はいたしかたない、と思った。

「おばあちゃんの家と保育園の、ちょうど真ん中あたりに家があったら理想的」と思っていたら、ちょうどそこに、程よい中古住宅が売り出していたのである。その中古住宅は、前の持ち主さんがこだわって建てた注文住宅で、事情により1年も住まないうちに売りに出されたもの。まだ新しく内装もキレイだけれど、まぎれもない中古住宅だ。



 

現物を見て判断、安く、すぐ住める

北側の収納にカビはないか水もれの跡はないかチェック。

北側の収納にカビはないか水もれの跡はないかチェック。

中古住宅の良いところは、現物を見て決めることができること。もうそこに建っているのだから、見て、ピピピと感じることができること。

外観は好みにあっているか、部屋の使い勝手はよさそうか、内装は、キッチンやユニットバスの設備は……。それらもくまなくチェックし、何度も見に行ったが、その家の”たたずまい”が気に入ったのも大きなポイントだった。

また、中古となると「安く買える」のも大きな魅力。その時ちょうど近くに新築分譲住宅も売り出していたが、購入を決めた中古物件より狭かった。でも価格は新築分譲住宅の方が1千万円ほど高かった。私たちの買った家は、広さでは勝っているものの、新築よりうんと安く買えたのだ。 

購入を決めたら、すぐにそこに引っ越して新しい生活を始めることができた。そう、中古物件のメリットのひとつは「購入してすぐに住めること」。なんらかの事情により、もし「すぐにでも引っ越ししたい」と思っているのなら、中古物件はお勧めかも。



 

新品志向はもう時代にそぐわない!?

私たち日本人には、モノには何かが宿ると考えられるからか、人が使ったものを避ける傾向があると思う。住まいにおいても「新築がいい」と思う人が多いだろうけれど、中古住宅でも建てて一年以内であったり、建てて一年以上経ってしまったけれどもまだ誰も住んだことのない「新中古」というジャンルがある。新品同様でも「中古」となれば、それだけで価格も下がるため、掘り出し物も多いのだ。

これからの時代、建てられる家の品質はぐっと良くなり、中古住宅でも快適に住めて、付加価値の高い家は出てくるだろう。ただし、新築住宅よりも確実に傷みは進んでいるので、より慎重に検討することが大切だと思う。高品質に建てられ、きちんと管理されてきた中古住宅を購入できれば、長く住むことができるだろう。購入後、少しずつ手を加え、自分好みの家にする。それはそれでなかなか楽しいものだと思う。

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