原野商法、後を絶たない二次被害と重要事項説明書

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原野商法とは、原野や山林などほとんど価値のない土地を、騙して高額で売りつける悪質商法です。1960年代から各地で被害が出始めて、1980年代には大きな社会問題になったものの、被害はバブルの頃まで相次ぎました。

この「原野を買わされた」というのが一次被害とされ、それから数十年経って再び問題になっているのが二次被害です。

何の使い途もなく困っている原野の所有者に対し「買主が現れた」「いまなら高く売れる」などと持ちかけ、売却手続きのために必要だとして測量費や整地費用、名義変更費用、手数料、雑草処分代、広告費などさまざまな名目で金銭を騙し取るのです。

「偶然」にも開発が実現しないかぎり、測量をしようが広告をしようが何をしても基本的には売れないのが原野なのですが……。

以前、実際に原野商法の被害に遭い、遠方の原野を買わされてしまった人から当時の重要事項説明書や売買契約書を見せてもらったことがあります。

ところが、書類には「○番の土地の中の一部」としか書かれておらず、それが何平方メートルなのかも、どの位置なのかも、売買の対象となる土地を特定できるような記述はまったくありませんでした。もちろん、契約の際に図面の添付などもなかったとのこと。

それで売ってしまってお金にするのですから、相手がかなり巧みだったのでしょう。

この原野商法について「悪徳不動産業者」の手口として解説されていることも多いのですが、そもそも原野商法の対象となるような土地の売買に宅地建物取引業法の適用はありません。

上記のいい加減な重要事項説明書なども、それらしく見せるための小道具として使われていただけでしょう。

宅地建物取引業者が原野商法に手を染めたケースもあったようですが、それよりも詐欺グループが「宅地建物取引業者を装っている」ケースのほうが多いだろうと考えられます。

原野商法の二次被害が多発していることについては2006年頃にマスコミで大きく取り上げられたほか、自治体や公的機関などによる注意喚起も相次いでなされました。しかし、現在でも被害に遭う人が後を絶ちません。

その背景には、一次被害に遭った人がかなり高齢化していることや、当時の事情をよく知らないまま相続した人の増加などもあるようです。一次被害者が80歳代、90歳代になり、「自分が死ぬ前に何とか処分しておきたい」という気持ちにつけ込まれるケースもあるでしょう。

そして手口も巧妙化し、開発計画が実現するかのように事業計画書をでっち上げたり、いかにも本物らしいパンフレットを作成したりするほか、国からの補助金の話などさまざまなストーリーを織り込んだ新手の詐欺もあるようです。

また、詐欺師が持っている原野と、高齢者が持つ都市部の宅地などを交換させる、新たな原野商法も生まれているとか。

一次被害、二次被害を含め、原野商法による被害者の情報は裏社会で流通しているとみられていますが、原野の登記名義人、つまり被害者の住所・氏名は国が公開しているのです。

自分自身が原野を所有しているときはもちろんのこと、親が一次被害に遭っている場合や、その原野を親から相続した場合などにも、新たな詐欺のターゲットにならないよう、十分に注意しなければなりません。

>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2006年12月公開の「不動産百考 vol.6」をもとに再構成したものです)

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